真如堂の概要
真如堂は京都市左京区にあるお寺で、正式名称は「鈴聲山真正極楽寺(れいしょうざんしんしょうごくらくじ)」と言う。宗派は天台宗で、本山である延暦寺から見て南西の比叡山麓に境内を構えている。
周辺には金戒光明寺や平安神宮といった大規模な神社仏閣が集中しているためあまり目立たない存在だが、広大な境内には重要文化財指定の本堂や三重塔、涅槃の庭といった見どころが多数存在する。また本尊である阿弥陀如来立像や真如堂縁起をはじめとした貴重な文化財も多く所蔵しており、洛東の穴場的スポットとして親しまれている。
真如堂の歴史
真如堂は984年に戒算上人によって開創された。御本尊となった阿弥陀如来立像は「うなずきの弥陀」とも呼ばれ、特に女性を救済する仏として女性からの信仰を多く集めた。
境内は15世紀後半に勃発した応仁の乱により一時荒廃し、その後も所在地を転々としたが、17世紀末に現在の地に戻された。本堂を始めとするほとんどの伽藍は江戸時代中期に再建されたもので、現在に至っている。
真如堂の紅葉
真如堂は洛東有数の紅葉名所としてもよく知られている。2002年と2019年の秋にはJR東海の『そうだ京都、行こう』キャンペーンで取り上げられたことで、より一層注目を集めるようになった。
見頃時期になれば広い境内全域が色鮮やかなモミジの紅葉に包まれ、三重塔と紅葉が重なった光景など一帯には何とも秋の京都らしい風景が広がる。またシーズン終盤には本堂裏手にて散り紅葉も見られ、比較的長い期間紅葉鑑賞を楽しめるスポットとなっている。
真如堂の紅葉見どころ
総門
真如堂の入口は幾つか存在するが、正門に当たる総門は境内西側の吉田神社方面に建っている。朱色に塗られていることから「赤門」とも呼ばれているこの門の間からは、一直線に延びる参道と色鮮やかなモミジ、そして奥に建つ大きな本堂の姿を垣間見ることができる。
参道
総門の先には本堂へと続く参道が東西に延びている。道中にある緩やかな階段の両脇にはモミジの木が立ち並んでおり、見頃時期になれば鮮やかに色づいたモミジの紅葉が参道を赤一色に包み込む。
東に目を向ければ本堂や三重塔が、西に目を向ければ総門が視界に入り、その素晴らしい光景は拝観早々の参拝客の目を魅了する。
本堂
参道の先に建つ本堂は、境内の中でも一際大きな建物で重要文化財指定。本来の名称は「真如堂」と言い、これがそのまま寺全体の通称として定着した。
本堂の周囲には全面的にモミジの紅葉が見られ、正面から望むだけでなく本堂の周りを一周するだけでも十分紅葉狩りを楽しめる。また本堂の中に入って外廊下から紅葉を眺めるのも良い。
また本堂裏手の方でも色鮮やかな紅葉風景が広がっており、こちらも非常に見応えがある。シーズン終盤になればこの辺りでは散り紅葉の絶景も見ることができる。
三重塔
本堂向かって右手前にそびえ立つ三重塔は、真如堂を最も象徴する建物で高さ約30m。この三重塔と紅葉を重ね合わせた光景が、真如堂における最大のハイライトとなっている。
三重塔は真如堂で最も高い建物なので、塔の周辺だけでなく境内の様々な地点から視界に入れることが可能。例えば本堂の外廊下からは、一面が真っ赤に染まった紅葉と共に三重塔を望むことができる。
本堂横手から望む三重塔の風景も中々趣がある。このように三重塔は至る所に撮影ポイントがあるので、フォトジェニックな写真を求めて境内を色々散策するのも面白い。
書院
本堂の中へ入り拝観料を支払うと、その奥へと続く書院を見学できるようになっている。書院と本堂はこのような長い渡り廊下によって繋がれている。
渡り廊下の途中には小さな手水舎が設置されている。紅葉の時期になればモミジの葉が水面に浮かび、その風情ある光景から多くの参拝客が思わず足を止める。
書院の内部では襖絵を始めとした多数の文化財を鑑賞することができ、また外に目を向ければここでも赤く染まったモミジの紅葉を見ることができる。
涅槃の庭
書院の最奥に広がっているのは枯山水庭園である涅槃の庭。名造園家・曽根三郎氏が1988年に作庭した比較的新しい庭園だが、東方に連なる東山三十六峰を借景とした景観はお見事。また秋になれば色鮮やかなモミジの紅葉が加わることで、より華やかな風景を味わうことができる。
紅葉見頃時期・拝観時間・拝観料
【見頃時期】例年11月中旬〜下旬頃
※その年の気候状況により時期は前後します
【拝観時間】9:00〜16:00(受付15:45まで)
【拝観料】大人1000円、中学生900円、小学生以下無料
※上記は秋の特別拝観料金で、通常は大人500円
※本堂の仏間から先以外は無料で散策できる
紅葉ピーク時の混雑状況
京都の紅葉スポットで心配されるのが混雑状況。周辺の名所で言えば永観堂禅林寺は想像を絶する混み具合となるが、真如堂は境内が広大なこともありそこまで混雑することはなく、紅葉ピーク時であっても比較的ゆったりと紅葉を鑑賞できる。特に書院の内部は有料拝観エリアとなっているため、秋の京都でありながらとても落ち着いた雰囲気が漂っている。
真如堂へのアクセス
①JR「京都駅」より市バス(5・17・100系統)に乗車し「錦林車庫前」バス停下車徒歩約8分
②阪急京都本線「四条河原町駅」より市バス(5・17系統)に乗車し「錦林車庫前」バス停下車徒歩約8分
③京阪本線「祇園四条駅」より市バス(203系統)に乗車し「錦林車庫前」バス停下車徒歩約8分
④京阪本線「三条駅」より市バス(5系統)に乗車し「錦林車庫前」バス停下車徒歩約8分
⑤京阪本線「出町柳駅」より市バス(17・102・203系統)に乗車し「錦林車庫前」バス停下車徒歩約8分
⑥地下鉄烏丸線「丸太町駅」より市バス(93・204系統)に乗車し「錦林車庫前」バス停下車徒歩約8分
真如堂周辺の紅葉名所
真如堂から歩いて5分程のところには「くろ谷さん」で知られる金戒光明寺があり、こちらも大規模な境内を有する紅葉名所(夜間ライトアップも行われている)。また道中にひっそりと佇む栄摂院(上画像)の紅葉も見事で、秋の見頃期間限定で庭園が公開されている。ほか、平安神宮や南禅寺、永観堂禅林寺など周辺には紅葉の名所が数多い。
真如堂 その他の季節
真如堂は桜に関しては紅葉ほどの規模ではないが、本堂や三重塔周辺を中心にソメイヨシノや八重桜などが静かに花を咲かせる。続いて初夏〜梅雨の季節は青もみじやアジサイが美しい。また冬の時期は稀に雪景色(上画像)が見られることもあり、境内が一面雪化粧した光景は壮観の一言。