新宮城跡の概要
新宮城跡は和歌山県新宮市にある城跡公園。熊野川河口付近の小高い丘(丹鶴山)に位置しており、かつてこの場所に新宮城が存在した。
現在は天守閣をはじめとした主だった建物は残っていないが、本丸石垣等の往時の遺構が幾つか現存しており「続日本100名城」に選出されている。また本丸頂上付近は見晴らしが良く、広大な熊野川の流れを一望できるだけでなく、西方に面しているため日没頃は夕日もよく見える。
他、春になれば桜が咲き誇り、南紀地方における桜の名所としても知られている。
新宮城の歴史
新宮城は別名「丹鶴城」とも呼ばれるが、これは平安時代末期の武将である源為義の娘「丹鶴姫」がこの地に居住していたことに由来する。時は下り、新宮城は堀内氏、浅野氏、水野氏と度々城主が入れ替わったが、現在の地に築城したのは浅野氏の時代の浅野忠吉であり、17世紀初頭に大・小の天守閣や二の丸等の建設を開始した。
途中、浅野氏と入れ替わって初代紀州藩主・徳川頼宣の付家老・水野氏が入城し、17世紀半ばには現在に見られる近世城郭が完成した。その後の新宮城は水野氏の10代に渡る統治の拠点となり、今の新宮市は城下町として栄えた。ところが、明治維新に伴う廃城令により19世紀後半には天守等の建物は取り壊され、最終的には昭和後期に公園として整備され現在に至る。
新宮城跡の見どころ
上述したように新宮城跡には天守や本丸等の建物が現存しておらず、また復元もされていないため、今も残っているのは天守台等の石垣のみである。ところがこの石垣が非常に堅牢で迫力があり、鬱蒼と生い茂った緑も相まって、石垣に囲まれているとまるで古代遺跡に入り込んだかのような感覚を味わえる。
そして本丸北側から見渡せる広大な熊野川の流れも壮観。全長400m以上ある新熊野大橋も一望でき、また後方に連なる山々は奥深い熊野の大自然さを感じさせられる。新宮駅から歩いて行ける距離にあるということもあり、新宮城跡は新宮市街地におけるお手軽な展望スポットになっている。
新宮城跡の営業時間と料金
【営業時間】散策自由
【料金】無料
新宮城跡へのアクセス
JR紀勢本線「新宮駅」下車徒歩約10分
新宮城跡周辺の名所
新宮駅周辺と言えば、熊野三山の一つである熊野速玉大社(上画像)がまず必見。「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されており、「新宮市」という街の名前の由来にもなっている。また熊野速玉大社の摂社である神倉神社も同じく世界遺産。こちらは日本一険しいと言っても過言ではない石段が非常に特徴的で、頂上からは新宮市街地やその先の太平洋までを一望できる。