和歌山 熊野本宮大社

和歌山の名所

熊野本宮大社の概要

 和歌山県田辺市にある熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)は、全国に約3,000ある熊野神社の総本宮。熊野速玉大社、熊野那智大社と共に熊野三山を構成する一角であり、2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録された。

熊野本宮大社 大鳥居

 境内は三社の中で最も山深い場所に位置しているが、近年は周辺に世界遺産センターが建てられるなど観光地としてしっかり整備されている。内部の方はとりわけ古式ゆかしい雰囲気が漂っており、境内奥に佇む社殿は国の重要文化財に指定されている。

熊野本宮大社の歴史

熊野本宮大社 神門と社殿

 熊野本宮大社が創建されたのは社伝によると崇神天皇の御世(紀元前33年頃)とされ、当初は熊野川と音無川、岩田川の三河川に囲まれた中洲(大斎原=おおゆのはら、後述)に社殿があった。平安中期にさしかかると、熊野本宮大社は熊野詣の最初の目的地として大いに賑わった。

熊野本宮大社 境内

 時は遡り明治中期の1889年、熊野川(十津川)流域で十津川大水害が発生し、中洲に建っていた社殿や拝殿といった建物のほとんどが流されてしまった。唯一残った上四社の社殿が後に現在の地に移され、他の社殿は石祠として旧社地に祀られ現在に至る。

熊野本宮大社 大斎原

 なお旧社地である大斎原はだだっ広い広場が広がるのみであったが、2000年に高さ約34mの日本一高い大鳥居が建てられ、熊野本宮大社の新たな見どころの一つとなっている。

熊野信仰と熊野三山

 熊野三山を語る上で熊野信仰への理解は欠かすことができない。奥深い山々に覆われた紀伊半島南部に広がる熊野の地は、古来より信仰の対象であった。平安中期以降、宇多上皇が熊野の地へ御幸(ごこう=上皇が外出すること)したことを皮切りに、白河上皇、後白河上皇、後鳥羽上皇と言った多くの上皇が「熊野御幸」を繰り返した。(中でも白河上皇2回目の御幸は総勢800人以上の大所帯となり、また後白河上皇の参詣は累計34回に及んだとされる。)

熊野速玉大社 社殿

 こうした歴代上皇による熱狂的な熊野御幸が熊野信仰隆盛のきっかけとなり、その信仰は朝廷関係者や武士、さらには一般大衆にまで浸透した。参詣者たちは奥深い熊野の山中を結ぶ参詣道(熊野古道)を利用し、3つの聖地である熊野本宮大社、熊野速玉大社(上画像)熊野那智大社(下画像)(総称して熊野三山)を目指して歩を進めた。

熊野那智大社 拝殿

 参詣道には身分や老若男女の別なく多くの人々が行列を成したため、その賑わいようは「蟻の熊野詣」とも形容される程であった。そしてこの伝統は現代に至るまで続いており、特に2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されてからは、日本人だけでなく海外からも注目を集めている。

熊野本宮大社の見どころ

大鳥居

熊野本宮大社 大鳥居

 境内入口に立つ大鳥居は、熊野三山の鳥居の中でも最も古式ゆかしい佇まいを感じさせる。またその隣には熊野のシンボルである八咫烏(やたがらす※)の巨大な旗がはためき、参拝者たちの目を引く。この八咫烏のマークは境内の多くの場所で目にすることができる。

※日本を統一した神武天皇を熊野の地から大和の橿原まで道案内したと伝えられる伝説上のカラスで、熊野信仰における神の使いとされている。現在はサッカー日本代表のエンブレムに使用されていることでも非常に有名。

参道

熊野本宮大社 参道

 大鳥居を抜けると鬱蒼とした樹林に包まれた参道が神門前まで延びている。途中158段に及ぶ長い石段が続き、また両脇には無数の幟旗が立ち並ぶその光景からは、さすが熊野神社の総本宮と言うべきとても厳かな空気が漂っている。

神門と社殿

熊野本宮大社 神門と社殿

 参道の階段を登り切った先には大しめ縄と大絵馬が上部に掲げられた神門が立っている。この門の先に鎮座しているのが檜皮葺の社殿で、国の重要文化財に指定されている。ただし、神門より先の空間は神域ということで写真撮影は禁止となっている。

大斎原

 熊野本宮大社を参拝されたらぜひ大斎原の方にも足を運びたい。近世まで熊野本宮大社の境内があった場所で、現在の境内地からは世界遺産センターを挟んで反対方向に広がっている。(歩いて5分程度)

熊野本宮大社 大斎原

 2000年にはこの大斎原の地に高さ約34m、横幅約42mを誇る日本一高い鳥居が建てられ、熊野三山の新たなランドマークとなった。鳥居の目の前には田圃が一面に広がっており、まるで日本の原風景のような光景を目にすることができる。

熊野本宮大社の参拝時間と参拝料

【参拝時間】午前8:00~午後5:00

【参拝料】無料

熊野本宮大社へのアクセス

【大阪方面から】
JR紀勢本線「紀伊田辺駅」より龍神バス(熊野本宮線・本宮大社方面)に乗車し「本宮大社前」バス停下車徒歩約7分

【名古屋方面から】
JR紀勢本線「新宮駅」より熊野御坊南海バス(川丈線・本宮大社前行き)に乗車し「本宮大社前」バス停下車徒歩約7分

※熊野速玉大社からは、「速玉大社前」バス停より熊野御坊南海バス(川丈線・本宮大社前行き)に乗車し「本宮大社前」バス停下車徒歩約7分(所要時間約1時間10分)

※熊野那智大社からは、「那智山」バス停より熊野御坊南海バス(那智山線・紀伊勝浦駅行き)に乗車し「汐入橋」バス停下車、同バス(新勝線・新宮駅行き)に乗り換え「大橋通り」バス停下車、同バス(川丈線・本宮大社前行き)に乗り換え「本宮大社前」バス停下車徒歩約7分(所要時間約2時間40分)

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