ベネルクスの名所

ベネルクスの概要

 ベネルクス(Benelux)とはベルギー(Belgium)、オランダ(The Netherlands)、ルクセンブルク(Luxembourg)の総称を言います。一帯は古くからヨーロッパの先進地域であり、また標高の低い土地が広がることからネーデルラント(Nederlanden/オランダ語で「低地地方」の意)と呼ばれていました。16世紀までは様々な勢力に支配されていましたが、17世紀に入り北部が先駆けてオランダとして独立を果たすと、19世紀には南部のベルギー、次いでルクセンブルクが独立し、現在のベネルクス三国と呼ばれる分立状態となります。

 20世紀に入ると二度の大戦で大きな被害を受け、特に第二次大戦では全域がナチスによる占領を受けますが、終戦後はベネルクス関税同盟を発効して緊密な経済連携が取られ、またこの体制が後のEC、EUへと繋がります。そして現代においては三国いずれも小規模な国家でありながら、EUやNATOの本部が置かれているブリュッセルや国際司法裁判所があるハーグなど、世界的な影響力を有する都市を数多く抱えています。また三国は国土が狭く全て合わせても北海道ほどの面積しかありませんが、鉄道網が良く発達しているため都市間の移動に時間がかからず、観光しやすい点も魅力の地域です。

オランダ (The Netherlands)

オランダの概要

 オランダは西ヨーロッパに位置し、東にドイツ、南にベルギー、北は北海に面しています。本土の面積は九州と同程度という小さな国ですが、そこには首都・アムステルダム(Amsterdam)を筆頭に、世界屈指の港湾都市であるロッテルダム(Rotterdam)、国際司法裁判所があるハーグ(The Haag)、ユトレヒト条約が結ばれたユトレヒト(Utrecht)など、世界的に名の知られた都市が集中しています。

キンデルダイク
キンデルダイクの風車網(南ホラント州)

 なおオランダの正式国名であるNederland(蘭)/Netherlands(英)はそのまま「低い土地」という意味があり、その名のとおりオランダの国土は約四分の一が海抜0メートル以下という極めて平坦な地形をしています。しかしながら、そのような地理的環境を背景に風車や水路、自転車といったオランダを象徴する街並みが形成されていきました。またオランダには「ホーランド(Holland)」という呼び名もあり、これは古来よりオランダの経済・軍事面において最も有力な州であったアムステルダムやロッテルダム一帯の地域のことを指しますが、その歴史的存在感から今もオランダ≒ホーランドで通じるほど国際的に浸透しています。

ギートホールン
ギートホールン(オーファーアイセル州)

 ちなみに言うと、「オランダ」という日本語名はホーランドのポルトガル語読みに由来しています。日本に最初にやって来た西欧人はポルトガル人ですが、彼らがオランダのことを当時から通称であった”Holland”と紹介した(ただしポルトガル語読みでは語頭のHは発音しない)ため、「オランダ」という呼び名が日本において定着したと言われています。

オランダの歴史

ユトレヒト 街並み
ユトレヒト(ユトレヒト州)

 オランダを含むネーデルラント(低地地方)は16世紀、当時全盛期を誇ったスペインに支配されていましたが、スペイン国王・フェリペ2世による圧政や宗教弾圧等を受け、1568年に反乱を起こします。このとき、今のベルギーを始めとした南部は比較的穏健な立場を取りましたが、ホラント州を中心とする北部7州は強硬姿勢を崩さなかったため、結果として80年の長期に渡る戦争に発展します。

デ・ハール城 庭園
デ・ハール城(ユトレヒト州)

 16世紀末以降戦局を有利に進めた北部7州は、17世紀に入ると実質的な独立状態となり、1648年には正式にオランダとして独立を果たします。(この戦争を80年戦争又はオランダ独立戦争と呼びます。)そして世界の覇権も衰退したスペインからオランダへと移り、オランダ東インド会社に代表される世界規模の交易を展開した結果、17世紀のオランダは当時最大の貿易国家として黄金時代と称される全盛期を迎えます。

ロッテルダム
ロッテルダム(南ホラント州)

 しかしながら17世紀後半以降は隣国であるイギリスやフランスによる度重なる攻撃を受け衰退し、世界の覇権も産業革命を成し遂げたイギリスにその座を明け渡します。また第二次大戦ではナチスによる占領を受け、この時アンネ・フランクを始めとした多くのオランダ在住ユダヤ人が命を落としています。なお、オランダは江戸鎖国期において日本と唯一外交関係を保った西洋国でもあり、近世日本はオランダを通して医学、天文学、兵学など多くの西洋学術を吸収したという点も、日本人にとっては見逃せないポイントです。

オランダの名所

 オランダは国土が狭い上に主要都市が中南部に集中しているため、鈍行列車でも1時間もあれば都市間を移動できます。街を歩けば張り巡らされた水路や行き交う自転車等、オランダ特有の街並みを楽しめます。またオランダの二大シンボルといえば風車とチューリップですが、前者はロッテルダム近郊に位置するキンデルダイク(Kinderdijk)が世界遺産に登録されており、後者は年に2ヶ月しか開園されないキューケンコフ公園(Keukenhof)が世界最大規模を誇ることで有名です。

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