オランダ ロッテルダム(Rotterdam, The Netherlands)

ベネルクスの名所

ロッテルダムの概要

ロッテルダム

 ロッテルダム(Rotterdam)はオランダ南西部の南ホラント州(Zuid-Holland)にあるオランダ第二の都市。ライン川、マース川、スヘルデ川が北海へと注ぐデルタ地帯に発達した港湾都市であり、世界屈指の貿易港・ロッテルダム港を擁することで有名。

ロッテルダム エラスムス像

 ロッテルダム港は2000年代初頭まで長らく貨物取扱量世界一を誇り、現在もヨーロッパ最大の規模を堅持している。他、16世紀始めに『愚神礼賛』を著し宗教改革に大きな影響を与えた人文学者・エラスムスの故郷としても知られている。

ロッテルダムの歴史

 ロッテルダムは元々は小さな港町に過ぎなかったが、大西洋貿易の隆盛と共に大きく発展し、オランダが黄金時代を迎えた17世紀前半には世界で最も重要な港湾都市の一つとして栄えていた。これはロッテルダムの港が内陸の水運と外洋を繋ぐヨーロッパの玄関口となっていたことに起因し、更には19世紀にかけての産業革命、重工業の発達、運河の改良等によってロッテルダムの経済はますます発展していった。

ロッテルダム

 ところが1940年5月、ナチスによる空襲によって市街地は壊滅的な被害を受け、ロッテルダムは第二次大戦における最も被害の大きいオランダの街となった。しかしながら、一度焼け野原となったことはかえって古い街並や景観の配慮に囚われる必要がなくなり、戦後復興においては斬新なデザインの建物や都会的な高層建築物が数多く建てられた。このような背景から、ロッテルダムの街並みは歴史的な面影を色濃く残す首都・アムステルダムとは対象的であるとよく評されている。

ロッテルダムの見どころ

ロッテルダム 地図

 下記に示すロッテルダムの見どころはロッテルダム中央駅の南側にかけて広がっており、また最も遠くに位置するエラスムス橋であっても徒歩30分程しか離れていない。そのため半日もあれば十分ロッテルダムの主要名所を見て回ることができる。またロッテルダムの通りは非常に広々としており、その開放的な雰囲気はヨーロッパというよりも東京・丸の内のような小綺麗さを想起させられる。

※各料金は2023年時点のものです

キューブハウス(Cube Houses)

ロッテルダム キューブハウス

 ユニークな現代建築が多く建つロッテルダムの中でも一際注目を集めるのが、黄色いサイコロのような「キューブ」が38個も立ち並ぶこちらの建物。名をキューブハウス(Cube Houses)と言い、オランダ人建築家であるピエト・ブロムの設計によって1984年に建てらた。この可愛らしい建物は本来集合住宅として建設されたもので、採光を良くするためにキューブを45度傾けるなど、居住空間を最適化するために様々な工夫が施された結果、このような独創的な外観となった。

ロッテルダム キューブハウス

 現在のキューブハウスには実際に人が居住しているが、中庭のスペースには自由に出入りすることができ、また一部の部屋は一般開放されており有料で内部を見学することも可能。さらにはユースホテルとして営業されているキューブもあるなど、観光客であってもキューブハウスの独特な居住空間を実際に体感することができるようになっている。


【営業時間】10:00〜18:00
【料金】内部見学:€3(€1=150円として約450円)
【アクセス】地下鉄orトラム停留所「ブラーク駅(Blaak)」下車徒歩約1分又は「ロッテルダム中央駅」より徒歩約25分

エラスムス橋(Erasmusbrug)

ロッテルダム エラスムス橋

 エラスムス橋(Erasmusbrug)は斜張橋と跳開橋を組み合わせた大型の橋で、ニーウェ・マース川に架かりロッテルダム市街地を南北に繋いでいる。長さは802mでオランダ国内の橋の中では2番目に長く、またその名は言うまでもなくロッテルダム出身の人文学者・エラスムスに由来している。なお、ロッテルダム近郊にあるオランダを代表する観光名所・キンデルダイクの風車網へは、この付近から出ている水上バスに乗って行くことができる。


【営業時間】散策自由
【料金】無料
【アクセス】トラム停留所「Willemsplain」下車すぐ又は「ロッテルダム中央駅」より徒歩約31分

マルクトハル(Markthal)

ロッテルダム マルクトハル

 現在のオランダにおける最大の屋内マーケットが、ロッテルダム市街地に建つマルクトハル(Markthal)。2014年に建設されたこの巨大な建物の中には100を超える生鮮食品店、食料品店、レストランが営業しており、その圧倒的な規模から今ではロッテルダムを代表する観光名所にもなっている。またアーチ型をした独特な外観や内部の天井を覆い尽くす色鮮やかな壁画など、現代建築の街・ロッテルダムらしいユニークな建築美も併せて楽しむことができる。


【営業時間】
・月~木・土:10:00~20:00 ・金:10:00~21:00 ・日:12:00~18:00
【料金】入場無料
【アクセス】地下鉄orトラム停留所「ブラーク駅(Blaak)」下車徒歩約2分又は「ロッテルダム中央駅」より徒歩約22分

聖ローレンス教会(Grote of Sint-Laurenskerk)

ロッテルダム 聖ローレンス教会

 聖ローレンス教会(Grote of Sint-Laurenskerk)は1449年から1525年にかけて建設された後期ゴシック様式のプロテスタント教会。第二次大戦におけるナチスによる空襲では大きな被害を受け、戦後は解体も視野に入ったが最終的には修復されたという歴史を持つ。今ではロッテルダムにおいて唯一残る中世時代の遺構となっており、歴史的な建造物が少ないロッテルダムの街において大きな存在感を放っている。内部にはオランダ国内最大級のパイプオルガンがあり、また鐘楼に上ってロッテルダムの街並みを一望することもできる。


【営業時間】
・10:00〜17:00(3〜10月) ・11:00〜17:00(11〜2月)
※日・月は定休日 ※鐘楼は7・8月の期間中登ることができる
【料金】
・教会:€3(€1=150円として約450円)・鐘楼:€7.5(€1=150円として約1,150円)
【アクセス】地下鉄orトラム停留所「ブラーク駅(Blaak)」下車徒歩約3分又は「ロッテルダム中央駅」より徒歩約20分

ロッテルダム市役所(Stadhuis Rotterdam)

ロッテルダム 市役所

 ロッテルダム中央駅の南東部を南北に延びる大通り・クールシンゲル通りに面するロッテルダム市役所(Stadhuis Rotterdam)は、ヨーロッパの庁舎らしく威風堂々とした外観が目を引く石造りの建物。完成は1920年で、1940年5月のナチスによる空襲では奇跡的に被害を免れた貴重な建物でもある。内部は役所なので全てを見て回ることはできないが、エントランスホールと中庭は無料で一般公開されている。


【営業時間】08:30〜17:00
【料金】無料
【アクセス】トラム停留所「Stadhuis」下車徒歩約2分又は「ロッテルダム中央駅」より徒歩約12分

ロッテルダムへのアクセス

【アムステルダムから】
アムステルダム中央駅(Amsterdam Centraal)からロッテルダム中央駅(Rotterdam Centraal)まで、
①Thalys利用で所要約39分
②Intercity direct利用で所要約41分

【ブリュッセルから】
ブリュッセル中央駅(Bruxelles-Central)からロッテルダム中央駅(Rotterdam Centraal)まで、
①Thalys利用の場合はブリュッセル南駅(Bruxelles-Midi)で乗り換え所要約1時間20分
②Intercity利用で所要約2時間

Thalys(タリス)=フランス・ベルギー・オランダ・ドイツの4ヵ国を結ぶ高速列車(新幹線に相当)。なおユーレイルパス利用の際は別途座席指定券の購入が必要になるので注意
Intercity direct(インターシティダイレクト)=スキポール空港~ロッテルダム~ブレダ間を結ぶ特急列車。乗車の際はスキポール空港~ロッテルダム間は追加料金が発生するが、ロッテルダム~ブレダ間は発生しない
Intercity(インターシティ)=オランダ国内の都市間を結ぶ特急列車だが、アムステルダム~ブリュッセル間を結ぶ国際列車も存在する

ロッテルダム近郊の名所

キンデルダイク

 ロッテルダムを訪問したらぜひ併せて訪れたいのが、南東約13kmのところにあるキンデルダイク。一帯にはオランダを象徴する伝統的な風車が19基残っており、その規模はオランダ最大級。1997年には「キンデルダイク=エルスハウトの風車網」として世界遺産に登録された。今ではオランダを代表する観光名所として多くの観光客が訪れており、またロッテルダムからは公共交通機関を利用しても片道約1時間で行くことができるので、日帰り旅行に最適。

タイトルとURLをコピーしました