生國魂神社の概要
生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)は大阪市天王寺区にある非常に歴史のある神社。その創建は約2,700年前まで遡るとされ、日本最古級の神社並びに大阪最古の神社として知られている。また旧社格においては官幣社の中で最も格式の高い官幣大社であった。
毎年7月12、13日には大阪三大祭の一つに挙げられる生國魂祭り(いくたままつり)が盛大に催されることでも有名。なお地元では「いくたまさん」の通称で呼ばれることが多く、他に「難波大社(なにわのおおやしろ)」の別称もある。
生國魂神社の歴史
生國魂神社の創建は神武天皇の頃まで遡る。社伝によれば神武天皇東征の折、現在の難波宮跡(大阪城付近)に生島神・足島神を鎮祭したのがその始まりという。それから中世に至るまで、生國魂神社の境内は現在地ではなく北へ2km程離れた大阪城の方に位置していた。15世紀末には境内に隣接する形で石山本願寺が蓮如によって築かれている。
しかしながら16世紀後半、石山本願寺と織田信長の間で石山合戦の戦いが勃発すると、1580年にはその兵火により社殿が焼失してしまう。さらに1583年になると、豊臣秀吉が石山本願寺跡地にて大坂城の築城を始めたため、生國魂神社は境内自体を現在の地に遷座を余儀なくされた。社殿はその後も大坂夏の陣の兵火や火災、空襲、台風など幾度となく焼失と再建を繰り返し、現在の本殿は1956年に建てられた鉄筋コンクリート造りのものとなっている。またかつて境内にあったとされる蓮池も、現在は埋め立てられて生玉公園となっている。
生國魂神社の桜
生國魂神社は春になると境内に多数の桜が花を咲かせる桜スポットでもある。中でもまず目につくのは入口である表門大鳥居の周辺に咲き誇る桜だろう。これは境内の外からでもよく見えるので、参拝者だけでなく通りすがりの人々の目も楽しませてくれる。
そして境内の中に入ると正面に見えるのが本殿。現在の建物はコンクリート造ではあるがその造りは独特で、桃山文化の豪壮さを遺す伝統的な造りによって再興されている(この建築様式は「生國魂造り」と称されている)。また本殿の目の前には一本の桜木が植えられており、見頃になると可憐な花々が美しく彩りを添える。
さらに本殿向かって右手奥にも境内は広がっており、そちらの方にも桜が多数見られるのでぜひ散策しておきたい。その中でも特に多くの桜が咲くのは北門に当たる冠木門の辺りで、門へと続く石段を覆いかぶさるように咲き誇る桜景色は壮観の一言。なおこの冠木門の先には天王寺七坂の一つ・真言坂が北に向かって延びている。
桜見頃時期・参拝時間・参拝料
【桜見頃時期】例年3月下旬〜4月上旬頃
※その年の気候状況により時期は前後します
【参拝時間】9:00〜17:00
【参拝料】無料
生國魂神社へのアクセス
大阪メトロ谷町線「谷町九丁目駅」下車徒歩約3分
生國魂神社周辺の桜名所
生國魂神社の境内は上町台地という台地上に位置し、その西側斜面は急激な下り坂が難波方面へと続いている。そのうち石畳で出来た風情ある7つの坂道のことを「天王寺七坂」と総称し、その全ての坂で桜を見ることができる。生國魂神社からは冠木門から先に一直線に延びる「真言坂(上画像)」が最も近い。
その他、真言坂のさらに北側には境内全域に桜景色が広がる高津宮が境内を構えており、一方で南側には聖徳太子が建立した日本最古の官寺という非常に古い歴史を持つ四天王寺や、桜と通天閣と夕焼けを同時に望むことができる天王寺公園など、桜スポットが点在している。