山塘街の概要
山塘街は中国・蘇州(Suzhou)にある水郷地区の一部。蘇州と言えば歴史ある水郷の町で「東洋のベニス」と称される程であるが、山塘街はその中でも最も代表的なエリアであり、域内を流れる水路（山塘河）の全長が7華里(約3.6km)であることから「七里山塘」とも呼ばれている。（※中国における「里」の長さは日本と異なり、1里=約500m。）
山塘街の街並みは昔ながらの中国らしい雰囲気に満ち溢れており、特に山塘河は両側に白壁に黒い屋根瓦という昔ながらの建物が建ち並び、また中国における慶事の象徴である赤提灯が街の至る所に吊るされている。そのとてもノスタルジックな光景はフォトジェニックなスポットとしても注目を集めている。
また水路から少し外れれば飲食店が軒を連ねるストリートが続いており、食べ歩きを楽しむこともできる。さらには蘇州運河を巡る遊覧船も運行されているなど、様々なアクティビティを楽しめる蘇州随一の観光地として、今では多くの観光客が訪れる場所となっている。
山塘街の歴史
山塘街を貫く山塘河は一千年以上の歴史を誇り、その建設は唐王朝時代の825年、蘇州北西郊外に位置する虎丘と蘇州市街地を結んで交通の利便性を高める目的で開始された。ちなみにこの時の蘇州長官は唐代を代表する詩人・白居易である。この山塘河の開通によって山塘街の街並みも形成されていき、現代に入ると2015年には中国歴史文化街区に指定された。
山塘街の見どころ
ここでは山塘街の中でもフォトジェニックなスポットを紹介する。上述したように山塘街の全長はおよそ3.6kmにも及ぶが、その中でもポイントとなる地点は徒歩圏内に収まっている。
朝宗閣
朝宗閣は山塘河など複数の河川が交わる地点の突端に建つ典型的な中華風の建物で、内部は博物館となっている。近くから見ると周辺に吊るされた提灯も非常に印象的。なお、朝宗閣は対岸に架かる探橋という橋(後述)からもよく望見することができる。
通貴橋
山塘河の東岸は飲食店や土産物屋が軒を連ねる賑やかな通り道「山塘街」が河に沿う形で延びているが、この通りを北上していくと途中、左に折れるポイントがある。そこを左折すると現れるのが石造りのアーチ橋である通貴橋で、山塘河に架かっている。
通貴橋は清代の典型的な石橋で、花崗岩によって造られている。その歴史は明の弘治時代初期(15世紀後半)まで遡るが、現在の建物は清の時代の1880年に修繕されたものが今に残っている。橋上からは山塘河とその両側に建ち並ぶ建物、至る所に吊るされた赤提灯、運河を行き来する遊覧船、そして奥に架かる新民橋などをよく見渡すことができ、またその光景を一目見ようとした観光客で非常に混雑するスポットでもある。
新民橋
山塘河沿いをさらに北上して行くと、通貴橋の次に架かる橋が新民橋。この橋上からの景色も素晴らしく、南方奥に架かる通貴橋までをよく望むことができる。また11月下旬頃であれば、橋の階段付近にて植えられているモミジが真っ赤に紅葉した風景を併せて見ることも可能。しかしながらここもまた、多くの観光客でごった返すポイントとなっている。
五龍橋
山塘街の東側にも比較的大きな川が南北を流れているが、そのうち最も南側に架かる五龍橋からは朝宗閣とその奥に乱立する蘇州の高層ビル群をよく見渡すことができる。またこの時、方角的には南西方向を向くため秋～冬の日暮れ時には沈みゆく夕日もまた綺麗に見える。
探橋
五龍橋の東岸より川沿いを南へ歩いて行くと、次に見えてくる橋が探橋。この小さな橋の上からは対岸にそびえ立つ朝宗閣を非常に良く望見することができ、山塘街の宣材写真もここで撮影されたものがよく使用されている。また方角的にこちらも西方を向くため、日没前後には夕空が美しく広がるポイントでもある。
山塘街へのアクセス
蘇州地下鉄2号線「山塘街駅」下車徒歩約5分
山塘街の夜景
山塘街を訪れた際はぜひ日没後まで滞在してほしい。山塘街では夜になると一帯がライトアップされるのだが、その夜景は中国らしい派手な電飾で彩られ、日本とはまた違った華やかな景色を味わうことができる。特に山塘街の夜景は街中に吊るされた赤提灯に明かりが灯ることで、より一層妖艶な雰囲気が一帯に漂う。
山塘街周辺の名所
山塘街が所在する蘇州は歴史ある庭園や寺院が数多く存在する街で、水路以外にも多数の名所を見て回ることができる。中でも代表的なスポットと言えば「蘇州古典園林」として世界遺産に登録されている庭園群で、そのうちの拙政園(上画像)や留園は中国四大名園に数えられている。
ほか、寒山拾得の故事で名高い寒山寺や、蘇州のランドマークである北塔がそびえ立つ報恩寺、山塘街の終点・虎丘に位置し斜塔が有名な雲巌寺等の寺院も見応えがある。
